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付属病院News

新中検移転の顛末の一部を紹介したいと思います。

小郷 正則
(川崎医療短期大学 第1期生)
出典:ピペッツvol.25 2004年10月20日発行

1)オーダーリングマスター作製と試験管ラベル発行について

オーダーリングマスター作製は中検の誰もが経験したことのない作業課程の連続でした。このマスターには診療報酬に掲載されている検査項目はすべてオーダーできるようにすること、つまり院内検査項目も外注検査項目も一つのオーダー画面で依頼でき、検査部で検体の到着確認をするとそのまま自動分注機から自動分析に流れていき測定され、検査結果を報告するものです。用手法、外注検査も同じ流れです。

このオーダーリングマスターを作っていくのは大変な作業でした。そして、ほとんど完成近くになって、検体種別を同一検査項目の中で別々に分けなければならなくなりました。例えば、血清、尿、蓄尿、髄液、穿刺液などです。この変更は数週間にわたり、マスターの再編成にかかり放しになりました。また、そのオーダーから依頼され、発行される採血管ラベル、採取指示票と採取容器の組合せはとてつもない作業でした。例えば、容器名称はプレイン管(入7)、検査内容は茶プレ6、規定材料、採取量、固定検査項目、検査に必要な血清量などとどれ一つを変えても全てのマスターを変更しなくてはいけませんでした。これらの作業は現場の主任技師を中心に幾度も議論をして、やっと完成しました。採取ラベルの見本と採血管見本は図のとおりです。

新館(西病棟)
新館(西病棟)
採取ラベルの見本
採取ラベルの見本
採血管ラベルと搬送用試験管立て
採血管ラベルと搬送用試験管立て

2)移動のための備品台帳の整理と移動先の確認作業について

新検査部の図面をにらみながら、分析装置の位置、作業台の位置、流しの位置、採血室・病棟からの検体搬送装置の位置、各部門に必要とする椅子などを決めていきました。そして、医大生、短大生の実習場所の配置はルチンのそばではなく、学生専用の場所を確保することに決まりました。このように次から次と決まっていく中で、当初の計画を甘くみていたかかもしれないことが、引越しの予定日の数ヶ月前に勃発してしまいました。その一つは、現在使用の実験台は一部修理してすべて、新検査部に移動させるという決定でした。それまで、最低必要な実験台は新規に購入して、電源の引き込みから取り付け位置まで決めていましたのでそれをすべてキャンセルして、日常の仕事をしながら実験台の移動修理をしなければいけなくなりました。これは大変な作業でした。新検査部に移動しても、当分の間、学生用の実験台が足らない状態になりました。

もう一つは、備品台帳と現物の照合がいくらしてもあわなかったことです。備品ラベルが年数の間に外れてわからなくなっていたり、医大と短大の備品が中検備品と一緒になっていたりしたためです。この備品に移動先のラベルと部門を貼り付け、引越し当日に間違いないように移動させるのは大変な作業でした。さらに、中検には検査用のコンピュータシステムと学生教育用のコンピュータが混在しているのも大きな要因です。また、移動後廃棄予定としていても当日には新部門に移動しているものも少なからずあり、最終的に備品台帳が完成したのは引越し後、数週間かかりました。この問題は将来、生理機能検査室が引越しするときにもつきまとうものと危惧しています。


新中検(学生指導室)2004.09.21
新中検(学生指導室)
2004.09.21
新中検(検体検査実習・30期生)2004.06.16
新中検
(検体検査実習・30期生)
2004.06.16
新中検(微生物実習・30期生)2004.09.21
新中検
(微生物実習・30期生)
2004.09.21
新病理(細胞診実習・29期生)2002.10.09
新病理
(細胞診実習・29期生)
2002.10.09
新中検(引越間際の臨地実習・28期生)2002.10.09
新中検
(引越間際の臨地実習・28期生)
2002.10.09

3)検体搬送方法の工夫について

新中検(西館3階)への検体搬送システムは各階病棟および旧中検4階からボックストレベターを使用することが決まり、この箱の中にどのように検体を入れ、尿などがこぼれずに運搬できるか、なおかつこれにかかる諸費用を極力抑えるように工夫しました。今流行の100円ショップを数ヶ所歩き、色々の容器を探している内に鉢入りフラワーを入れる駕籠容器を見つけることができました。この容器を半分に切り、一部を削りとると丁度尿コップを入れるのに適していたし、値段も一つ100円以下と安価の上丈夫に見えるので採用することとしました。採血管を立てる試験管立ては市販品の物を買うことになりました。また、メッセンジャーの人が病棟などから手で運ぶときに使用する容器も100円ショップで購入して採用することになりました(図3、4)。この尿コップ用の駕籠は学生が鋸とナイフで作成し、仕上げにサンドペーパーで磨いて作ってくれました。

平成14年(2002)9月13日(金)午後から16日(月)に掛けて新中検への引越しが行われました。この移動を手伝ってくれたアルバイト学生は28期生(3年生)と29期生(2年生)で16日の夕方にはシュミレションも無事終了し、連休明け17日(火)の朝を迎えました。あれから、丸2年が立ち、懐かしい旧中検と新中検の写真を並べてみました。卒業生の皆さん、是非一度お立ち寄り下さい。ちなみに病院病理部と剖検室も新館(西館4階)に移動しています。


ボックストレベター(旧中検4階管理室)
ボックストレベター
(旧中検4階管理室)
新中検(検体専用ボックストレベター)
新中検
(検体専用ボックストレベター)
搬送用各種容器
搬送用各種容器
搬送ボックス
搬送ボックス
旧中検(引越し中-輸血側)
旧中検
(引越し中-輸血側)
旧中検(中検管理)
旧中検(中検管理)
旧中検(検体受付)
旧中検(検体受付)
新中検(管理室と検体検査入口)
新中検
(管理室と検体検査入口)
旧中検(検体受付)
旧中検(検体受付)
旧中検(学生実習風景)
旧中検(学生実習風景)
新中検(検体受付と免疫生化学)
新中検
(検体受付と免疫生化学)
新中検(免疫生化学検査)
新中検
(免疫生化学検査)
新中検(血液検査・一般検査)
新中検
(血液検査・一般検査)
新中検(凝固検査)
新中検(凝固検査)
新中検(検査情報室)
新中検(検査情報室)
新中検(輸血部)
新中検(輸血部)
新中検(遺伝子検査室)
新中検(遺伝子検査室)
新中検(微生物検査)
新中検(微生物検査)
新病理(業務開始)
新病理(業務開始)