恩師 佐々木先生 奥様からの手紙 No.2
佐々木 豊子
明日は春の嵐が吹き荒れるとのことですが、今日は春らしい穏やかな日差しいっぱいの一日でございました。(中略)私の手紙を会誌ピペッツに掲載したいとの事、実のところ戸惑いを感じ、亡き主人の思いを優先し卒業生の皆様に対し失礼なことを書いたのではないかと恥しく思っております。昨年9月8日一周忌直前にピペッツを贈って頂き、上田先生、卒業生の皆様の心の片隅に主人の真の思いが残っている様に感じ、又、十八年の国家試験合格率93.8%という頑張りに、よく「日本一の技師に育てる。どこの病院に就職しても恥しくない技師に育てる」という主人の口癖を思い出し涙したことを覚えております。あの当時はまだ優しいお言葉をかけて戴いたり、主人のことを聞かされると心が乱れ、すぐ涙があふれておりました。(中略)現在は、新井満さんの「千の風になって」という本に出会い秋川雅史さんの美しい歌声に魅せられて、ようやく心が落ち着いて参りました。でも一人で住んでおりますと、時に寂しく又、空しさを感じた時はこの歌詞を口ずさんでおります。主人は博愛主義の人でしたから、大きい空を吹き渡って、私のところだけでなく川崎短大の上でも卒業生の皆様の上も吹き渡り見守っていてくれると信じております。