恩師 佐々木先生 奥様からの手紙

佐々木 豊子

このたびはお忙しい中ピペッツをお送り下さりましてありがとうございました。早速、涙涙で読ませて戴き、ご仏壇に供え報告致しました。丁度昨年9月5日川大病院に入院しました時、往復キップを買って出かけておりました。主人、痛みがひどくて前日は殆んど眠っておりませんが、あそこまで病状がすすんでいるとは思えない、信じられなかったのでしょう。

ピペッツを読ませて戴きながら、川崎医療短大での八年間は、いつも日本一の検査技師に育てて見せるという自負と情熱を燃やした時でした。一期生、二期生の学生さんには時に気の毒だな!と思ったことも度々でした。でも主人は川崎学園の方針でやらねばならないし、で苦しんだあの二年間は忘れられません。夕食の時は「今日はこういうことがあったのだ。自分はこういう態度をとったのだけどどう思うか?」と会話は家族のことではなく学生さんのことで頭の中がいっぱいでした。でも謝恩会の二次会で狭い我が家で一人ひとりに握手しながらそれはそれは嬉しそうにしていた顔も忘れられません。

高知医大での主人の考えていた検査室が出来たのも卒業生の方々が付いてきて下さったればこそと思いますし、皆様の活躍されている様子を学会などで見たときは感無量だった様で「頑張っているよ。偉くなったよ!」と話をしてくれておりました。

決してこちらの病院で診察して貰わず、最後も川大病院へ。そして最後の旅立ちは信頼していた岡村先生に診て貰え、教え子の方々にもお世話になれ、家族全員を五日間側から離さず遺言は何もありませんでしたが、これからも家族間の絆の大切さを教えて旅立ったのだと思っております。私もわんちゃん三匹と子供達に余り迷惑をかけない様に頑張らねばと夕食の時、主人の写真を見ながら語りかけております。(中略)これからも卒業生の皆様のご活躍をお祈りしながらペンを置かせて戴きます。